綾部市と京丹波町を境にする福知山市大原の地、そこには古きより出産の無事を祈り、子供の成長を祈ってきた聖地、安産の神として崇敬を集めてきた「大原神社」と「大原の産屋」があります。
大原の産屋は茅葺、切妻(きりづま)屋根(やね)、それをそのまま地面に伏せたような天地(てんち)根元造(こんげんづくり)という古い建築様式で造られ、神話の世界を思い起こすような佇まいです。出産の折、十二把のワラ(閏年は十三把)を持ち込み、出入口に魔除けとして古鎌を吊り、七日籠って出産していました。この習俗は大正年間まで続き、また、産後三日三夜籠る習慣は昭和23年頃まで続いていました。現在は利用されなくなりましたが、 産後に身体を休めた安息の場所であるこの産屋を地元では大切に守っています。
(http://www.ubuyanosato.jp/intro/ubuya/ より)
助産学科では、助産学概論の授業の一環として、毎年夏に「大原神社」と「大原の産屋」にお伺いしています。大原神社の宮司さまより産育の歴史についてのお話を聞かせていただきます。民俗学では、血または出産そのものがケガレとしてとられ、産屋は女性が出産の際に大量の出血を伴うため、そのケガレを避けるために妊産婦さんを隔離するものであるということが通説となっているそうです。しかし、奈良時代初期に書かれた「古事記」「日本書記」には神々が出産する際に産屋を設けており、産屋はケガレ以前の純粋なる生命誕生の場であったとのことです。大原の産屋についても、古くから産屋の中の砂を安産の守り砂(子安の砂)として授与されており、出産の無事を願い、母親と子供の命の尊さを崇める場所であったことがわかります。「お産は神々がなす技。産屋はあの世からこの世へのよみがえり、命を授かる場である」という宮司さまの言葉が、母児の命に関わらせていただく私たちの心に強く響きました。
「産婦にとって産屋は天国。」
夫に寄り添われ産屋に入り、産後は7日7晩この産屋に泊ったそうです。毎日の過酷な労働から離れ、産後の体を癒しながら、愛する夫や愛しいわが子と過ごすこの産屋はまさに天国だったのだと思います。
産婦さんとご家族を守り、支え、癒すことができる、産屋のような存在の助産師となれることを心から願います。
昨年お伺いした時は、絵馬殿の茅葺屋根が葺き替え工事中でした。
今年は新しい茅葺屋根となった美しい絵馬殿を見ることができました。
夏の青い空、白い雲の元にある美しい茅葺の絵馬殿から
力強いパワーを感じました。
大原神社の歴史の1ページに触れることができたような気持ちになりました。
最後に、「これからたくさんの産婦さん赤ちゃんとの素晴らしい出会いがありますように。」
「これから出会うすべての女性の安産と11期生全員の助産師国家試験合格」をみんなで心から祈りました。